極細高級綿糸が織りなすナチュラルな縦しわが魅力の楊柳ストール

楊柳ストール:コットン100%なのに驚ろきの伸縮性!

八王子の繊維織物の伝統工芸士が作り上げた楊柳(ようりゅう)ストールです。縦縞のよろけと凹凸感が絶品です。綿100%で驚異の伸縮性を実現しています。単なる工芸品ではなく、世界に通用する繊維工業製品が出来上がりました。夏の終わりから秋、そして春に是非使っていただきたいメイドインジャパンの傑作です。

こころばせのオリジナル潮流

楊柳(ようりゅう)というのは凹凸感のある縦しわが入ったさらっとした風合いの生地の総称です。特に湿度の高い日本の夏においてはさらっとして肌離れの良い生地なので肌着や寝衣として重用されて来ました。

でも作るのはストール。こころばせでは最上級の高級エジプトコットンを使用することにしました。

そうして出来上がったのが、こころばせオリジナルの楊柳ストールです。このストールの魔法のような伸縮性深い縦しわを生み出している秘密が2つあります。

1)極細の経糸(たていと)
2)ぎゅっと撚りを入れた緯糸(よこいと)。強燃糸の使用

繊細なシボと凹凸感を生み出している一つ目の秘密は極細140番双糸の経糸(たていと)。極細の糸を使用し少し間隔を置いて並べることで、味わい深い縦縞のよろけと凹凸感を作り出すことに成功しました。

楊柳の味わい深い凹凸感のあるシボ

もう一つの秘密はぎゅっと撚りを入れた緯糸。撚りを入れるとは、わた状のコットン繊維を糸にする過程で繊維を捻る(縒る)ことです。たくさん縒ると、たくさん撚りが入ります。たくさん撚りの入った糸のことを強燃糸と呼びます。この強燃糸を少し伸ばした状態で安定させて織機にかけて布を作ります。そのあと生地を洗ってリラックスさせると、伸ばされたバネが戻るように緯糸が縮んで縦にしわが入るのですが、こころばせでは経糸と比較してちょっと太めの強燃糸を使用することで高い伸縮性が実現しました。ちょうど太いバネの方が強い復元力があるのと同じです。

こんな凄い生地を作って下さったのが、織物の街八王子の澤井織物有限会社の澤井社長さんです。

八王子の織物技術を駆使

八王子は古くから養蚕(シルクを吐き出す蚕を育てる)や織物が盛んで400年余となる歴史を有しています。 今は全盛期と比較すれば織機も激減していまが、この状況下でやさしい風合いの生地を作れる旧式シャトル織機を使いながら、最新のウェアラブルデバイスを開発するGoogleに技術提供する等、最新のイノベーションに関与し続けている澤井織物有限会社の澤井社長がこのこころばせ楊柳を作り上げてくださいました。澤井社長は繊維織物の伝統工芸士であり、伝統の技術を引き継ぎながら新しい工業製品を生み出す熱意を持った技術者です。私が澤井織物さんを八王子イチの機屋さんと思っている所以です。

 

 

 


緯糸が巻かれたコマが装着されたシャトル

こころばせ楊柳ストールもシャトル織機で作られています。緯糸を内包したシャトルが織機の左右に往復することで、経糸と交差して織物を作っていきます。こうして作られた生地には糸に強い力が掛からないため、最新の織機には出せないやさしい風合いになるのです。

こうしてシャトル織機で織られた生地には見栄えに関するもう一つの重要な美点があります。特にマフラーやストールとして使うときはとても重要です。生地の左右のと呼ばれる部分の仕上がりが、新型織機とシャトル織機とでは全く違うのです。

左がシャトル織機の耳、右が新型織機の耳の例

新型織機は横糸が折かえらずふさ耳になっていますが、シャトル織機の場合はスッキリした耳になっています。今回の楊柳ストールの耳も同様の仕上りになっています。

楊柳の耳

コットンの襟巻きは通常ハリがなく首に巻いたとき、しなっとなって貧相になりがち。でもこころばせ楊柳ストールは襟巻きとしてもしっかり存在感があります。ぐるぐる巻きにしても雰囲気いいです。

墨色楊柳
墨色

桃色楊柳
桃色

楊柳ぐるぐる巻き:墨色

楊柳ぐるぐる巻き:桃色

 

体を覆うストールとして

こころばせ楊柳ストールの抜群の伸縮性がありますので、肩からすっぽり体を覆うストールとしての使い方もできます。

体覆うストールとして:墨色

 

体を覆うストールとして

 

こころばせのネーミング

多くの繊維製品のブランド名が日本語でないことに強烈な違和感を持ち続けていました。でも、理由もわかります。日本語にするとその言葉を受け取る人それぞれが自分の経験からその言葉にプラスアルファの感情を乗っけてしまう。このリスクを避けつつスマートな表現となると、外国語(英語、フランス語、イタリア語など)を用いて日本語で適当な注釈をつけることになりますから。

そこで古典を紐解くことにしました。
源氏物語、第二十二帖 玉鬘(たまかずら)のなかに、権力の頂点太政大臣に上り詰めた光源氏さんが、全ての愛人に着物をプレゼントする衣配り(きぬくばり)をする場面があります。出家した空蝉の尼君にプレゼントする段で「青鈍の織物、いと心ばせあるを見つけたまひて、」とあります。ここでは「こころばせ」は趣きとか品格とかセンスとかおしゃれ心と訳せます。

衣配りで織物の評価に使われた「こころばせ」。これだ!と思いました。源氏物語の光源氏さんの様に、こころばせある繊維製品を衣配り(とっても有料ですが)をしていきたいと思っています。